子供の運動能力を引き出したいなら


こんにちは、田中です。

 

前回に続いて、スポーツのパフォーマンスを高めるというお話です。

前回の内容は、こんな感じでした。

  1. 筋力や持久力に先立って「動き」を鍛えることが大事
  2. 動作スキルは基礎的な動作スキル競技特異的な動作スキルに分けられる
  3. 小学生くらいまでは基礎的なスキルを重視し、多種多様な動作を身に着けよう

今回は、基礎的な動作スキル競技特異的な動作スキルについてのお話しです。

動作スキルとは

基礎的な動作スキルというのは、スポーツ全般の土台となるスキルです。

 

具体的には「走る、跳ぶ、方向転換、投げる(蹴る)」などです。

それ対して、競技特異的な動作スキルとは、それぞれの競技に必要な専門的なスキルです。

 

例えば、テニスのショットやサッカーのボールコントロール、野球の走塁技術は競技特有と言えますね。

まず基礎的な動作スキル、そして競技特異的な動作スキルへ

例えば「投げる」という動作。

 

同じ「投げる」という動作でも、やり投げと野球のピッチャーでは投げ方が違います。

しかし、根底にある'基礎的な動作スキル'としては同じ

 

それは「全身のバネを使って発生させた力を物体に伝える」という技術です。

この技術は、小学校低学年くらいにまでに上手に出来るようになります。

 

そこから、競技特異的なスキルとしてトレーニングを積んでいきます。

 

たとえば、野球と陸上の投擲種目では、トレーニングの仕方や鍛え方は全く違いますよね。

小学校低学年でやることは…

ちなみに、小学校低学年くらいまでの子供は、投げるときに細かいコントロールをするのが苦手です。

 

これは子供の発達過程がそうなのであって、個人の技量の問題ではありません。

 

そのため、細かいコントロールを要求されると「手投げ」になります。

 

これは、少年野球にありがちな良くない動作習得です。

手投げにならないためには、最初はコントロールは置いておき、できるだけ遠くに投げる練習をしましょう。

 

そうすると、体のバネを使って投げる感覚が身につきやすいと思います。

全身を出来るだけ大きく使う練習は、他の競技においても同じです。

 

この話は、今後の記事の中でしましょう。

体の使い方を十分に学び、専門競技に移行する

高学年になると、今度は競技特有の動作スキルを磨いていくことになります。

 

より競技に専門的で実践的なスキルに特化していきます。

 

また、本格的に試合参加する年齢になると、スキルだけでなくルールや戦術も磨く必要があります。

近年のスポーツでは、低年齢から特定の競技に専念させるエリート教育が多く見受けられます。

 

早く始めれば、他人より上手くできるので、自信をつけさせてあげられます。

しかし、低学年から特定のスキルばかり練習していると、高学年ですでに頭打ちになっている事があります。

 

「自分は人より上手くできる」と思っていたのに、だんだん人と同じレベルになってくるとモチベーションが下がります。

 

 

もしそうなった時には、ぜひ違う競技にも触れさせてあげてください。

子供たちの動作スキルを向上するには

さて、基礎的な動作スキルの質を高めるためには、できるだけ全身筋力を使った大きい動作をさせることが大事です。

 

ボール投げやキックでいえば、細かいコントロールは多少あと回しにしても「できるだけ遠くに飛ばしてみよう」が大事。

 

この時期の子供が、全力で、飽きずに取り組むには、楽しさとか夢中になれるような要素が必要です。

ゲーム形式とか、適度な競争が子供の全力を引き出します。

 

たとえば下の写真の子供たちはどうでしょう。

 

彼らは知らぬ間に、動作スキルを磨くトレーニングをしています。

全力の鬼ごっこの中には「加速・原則・方向転換」など重心をコントロールして体を移動する技術が詰まっています。

幼児期から低学年くらいまでは、形式ばったトレーニングは難しいです。

 

しかし、夢中でゲームをする中で動作習得は始まっているのです。

 

そしてもう一つ大事な事として、この時期は「自分にはできる」という自信や自尊心を高めてあげる事が大事です。

 

勝ったり負けたりするような適切な競争は、自尊心ややりがいを高めてくれます。

子供の動作スキルを高めるために、楽しい体育遊びはとても有効なのです。

スポーツを通じたフィジカルリテラシー教育

幼児期・学童期は、基本的な体の使い方を学ぶのに良い時期です。

 

一方、持久力や筋力の向上は、成長期前期~後期の方がさかんです。

 

まず「動き」を鍛えるというのは、この点からも言えることです。

体を上手に使いこなす事を、近年では「フィジカル・リテラシー」という言葉で表します。

 

フィジカル・リテラシーの高さを求められるのは、スポーツ選手や子供だけではありません。

 

むしろ子供よりも大人のあなたの方が、体の使い方に疎くなっていませんか?

子供のフィジカルリテラシーを高めると、将来にわたる筋骨格系の故障リスクを軽減できると筆者は考えます。

 

「スズメ百まで踊り忘れず」と言いますが、生涯スポーツの礎は前半生の運動習慣にあります。

 

高齢になっても自立生活をおくれる「健康寿命」を伸ばすことも、スポーツの持つ教育的・社会的側面の一つだと私は思います。

さて、次回はジュニア・アスリートの発達段階に合わせたコーチングについてお話をします。


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コーチ・トレーナー・メディカルの職種の垣根を越えて、活発な意見交換ができると良いと思います。

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