アゴが外れた?と思ったら…顎の脱臼時に役立つ記事


むずかしいケガや障害の知識を分かりやすく説明するブログ。

 

本日は、アゴが外れた時、実際に役に立つ記事を書いていこうと思います。

 

できるだけ易しい言葉で書いていきますので、ぜひお役だけくださいませ。

アゴはどんな時に外れる?

アゴがはずれるのは、たいがい口を大きく開けた時です。

 

たとえば、大きなものを食べようとしたり、嘔吐した際。

 

よくアゴが外れる方は、あくび等でも外れるケースもあります。

あくびをする等、おおきく口を開けた際にアゴが外れることが多い
あくびをする等、おおきく口を開けた際にアゴが外れることが多い

顔面に打撃などの大きな力が加わって外れる事もありますが、その場合は骨折を合併していたり手術を要する事がほとんどです。

アゴが外れるとどんな風になるか

アゴが外れることを、医学的には顎関節脱臼(がくかんせつだっきゅう)といいます。

 

アゴが外れると、「口が開きっぱなし状態」になります。

 

閉じようとしても閉じることが出来ません。

 

逆に「口が閉じたまま、ひらく事が出来ない」のはクローズド・ロックと言って脱臼とは違う症状です。

アゴの関節にも、右側と左側があるので、片方だけ外れることもあれば、両側が同時に外れることもあります。

両側が同時に外れていれば、下の歯が上の歯よりも前に来ていることが確認できます。

 

下の図のような状態です。

 

また、関節の頭部分が通常の位置にないため、関節部が「空虚な状態(くぼみがある)」になります。

 

私たちは、これらの状態にあるかどうかを視診や触診による鑑別(見分けること)に役立てています。

正常な顎関節。耳の下で関節がおさまっている。
正常な顎関節。耳の下で関節がおさまっている。
顎関節の前方脱臼。下あごが前に出て、耳の下はくぼんでいる
顎関節の前方脱臼。下あごが前に出て、耳の下はくぼんでいる

左右どちらかだけ外れている状態では、アゴが横がズレている見た目になります。

 

下アゴ全体は外れた側に移動していて、アゴ先は外れていない側に移動するという特徴的な外観です。

 

これも私たちがアゴの脱臼を見分ける際のポイントになります。

アゴの脱臼の時にした方が良い事

アゴの脱臼の時には、口が閉じられません。

 

唾液が口からあふれてしまうので、まずタオルを用意した方が良いです。

また、アゴの脱臼になれていない人は「しゃべる」のがかなり困難です。

 

コミュニケーションを取るために「筆談」のためのペンや紙を用意すると良いでしょう。

当たり前に思えるかもしれませんが、気が動転している患者さんはそこまで気が回らない事が多いです。

アゴの脱臼の時は、タオルや筆談の用意があると便利です。
アゴの脱臼の時は、タオルや筆談の用意があると便利です。

また繰り返し無理な整復(関節をはめる操作)をするのは避けましょう。

 

アゴの脱臼は自然整復される(自分で、もしくは自然に元に戻る)事が多いです。

 

自然整復されればそれに越したことはありません。

 

しかし、いつまで経っても自力で はまらない事もあります。

 

そんな時は、無理をして状況を悪化させるより医療機関を受診しましょう。

脱臼を整復する時の阻害要因として、「緊張」があります。

 

「関節や筋肉の物理的な緊張」もそうですが、「心理的な緊張」があると関節・筋肉の緊張がより強固になります。

 

無理な整復を繰り返して心と体の緊張を高めないようにしましょう。

医療機関を探す

アゴが外れた時にかかれる医療機関は、いくつかあります。

 

まず整形外科医院では、脱臼を整復しています。

 

また、口腔外科をかかげている歯科でも、アゴの脱臼の整復を行ってくれるようです。

夜間・休日などで救急外来を利用する時には、アゴの脱臼を整復してもらえるか事前に確認すると良いでしょう。

 

脱臼していると電話でしゃべるのが大変なので、身近な人にサポートしてもらいましょう。

私たち接骨院でも、応急処置として脱臼の整復を行っています。

 

緊急の際や、困った時にはお問い合わせください。

アゴの脱臼の整復はこんな風に行います
アゴの脱臼の整復はこんな風に行います

アゴの脱臼、整復後も要注意

脱臼についての誤ったイメージで「はまりさえすれば後は問題なし」のような感覚の人がいます。

 

しかし、体のどこの部分の脱臼においても、これは誤解です。

 

アゴの脱臼もまた然り。

 

脱臼が整復された後も、気を付けなくてはならない事があります。

2週間程度は再脱臼のリスクが高いです。

 

しばらくは、おおきく口を開けるのを避けた方が良いでしょう。

大きく口を開ける際の痛みや、脱臼しそうな不安感があるうちは、硬い物を食べるのも避けましょう。

 

アゴの脱臼のあと数日間は柔らかいものを食べるのがおススメです。

アゴの脱臼は「習慣性脱臼」になりやすいと言われます。

 

これは、普通の状態よりもアゴが外れやすくなってしまうという状態です。

 

予防することは難しいのですが、この事も頭に置いたうえで、脱臼直後は無理をしない事をお勧めします

まとめ

いかがだったでしょうか?

 

アゴの脱臼について、何かひとつでも役立つ情報はありましたか?

この記事が少しでもお役に立っていれば幸いです。

 

他にもいろんな記事があるので、お気に召しましたら時間のある時にご覧くださいませ。

この記事を書いたのは…

田中陽祐(たなかようすけ)

 

柔道整復師・スポーツトレーナー。にいさと接骨院×からだラボ 院長。

包帯やテーピングを巻くのが大好き。趣味はランニング、山登り。


参考にした書籍はこちら↓

  • 柔道整復学・理論編(改訂第7版)  
    公益社団法人全国柔道整復学校協会 (監修), 公益社団法人全国柔道整復学校協会・教育支援委員会教科書部会 (編集)
  • 実践にもとづく骨折・脱臼の保存療法 
    竹内義享 (著), 堺研二 (著), 西川順三 (著)
  • カラー写真でみる!骨折・脱臼・捻挫―画像診断の進め方と整復・固定のコツ (ビジュアル基本手技 2)
    内田 淳正 (著)

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