「コンディショニング」について考えるシリーズ。
本日も分かりやすく、楽しくお伝えします。
今日のテーマは「コンディショニングは『自己管理』とは違う」です。
皆さんは、人から「自己管理」について揶揄される事がありますか?
「自己管理がなってないんじゃないの?」とか。
「自己管理は基本だよ」とか。
ちょっと嫌な感じじゃないですか?自己管理って言葉。
コンディショニング専門家の私も、この「自己管理」という言葉が好きではないのです。
何故かというと「コンディショニング=自己管理」だと思うと、人は「ととのえ方」を間違えるからです。
そこで今日は、コンディショニングは自己管理とは違う、というお話をしようと思います。
あ、そもそもコンディショニングって何?という方には、こんな記事があります。

「自己管理」の息苦しさと消極性
「自己管理」という言葉は、本来の語義以上に「息苦しい」ですよね?
少なくとも楽しい響きの言葉ではないです。
「自己管理ぐらいしっかりしろよ」とか。
「あいつは自己管理がなってないんだよ」とか。
そんな風に使わる言葉だと思います。
投げ遣りなかんじの自己責任論が伴い、それが嫌な雰囲気をまとっているのだと思います。
「自分の調子くらいいつでも万全にしておくのが当たり前だろ?」ってかんじです。
これは、コンディショニングの健康観とは対極にあります。
コンディショニングは「調子良い方が人生は楽しいよね。」という 前向きな健康観だからです

また「自己管理」のコンセプトは消極的でもあると、私は思います。
「最低限の体調でもいいから、社会生活を全うできる状態でいる事」に重きを置いているように感じます。
これに対して「コンディショニング」は、体が悪くならないようにするといった消極的なものではありません。
「コンディショニング」は、今の暮らしの中で、自分の心と体を出来るだけ望ましい状態に近づけることです。
つまり、あなたの毎日がより快適で、楽しめる事が大事なのです。
その辺の話は、この回でも解説しました↓
調子が悪い日があっていい
私の考える「コンディショニング」は「自己管理」ではないので、調子が悪い日があっても良いのです。
「今日は調子が良くない」をという事実を、まずは「ありのままに」受け止めることが大事。
調子が悪くても良いから、その分コンディションの「変化」に目を向けてあげましょう。
例えば、コンディショニングの専門家の私だって、コンディションが悪い日があります。
ちなみに今日なんて、100点満点中40点くらいです。
でも、それは悪い事ではないのです。
そういう時は「現状」にガッカリせず、「どう変化するか」を大切にして、いつもと違う過ごし方をします。
たとえば、私が「コンディション40点」の日に気を付ける事は…
・朝ウォーキングを休んで、10分だけ軽めのストレッチをする。
・お腹に重く溜まりすぎない食事にする。
・今日のやる事リストから、タスクを一つだけ減らす
・今週の仕事のペース配分を変え、残業をしない。
・夜ベッドに入ってからスマホを見ないで、早く寝る。
こんなふうに、私は「今日の自分」が何点なのか、毎日知っています。
自分の体調を事実として客観的に観測しているのです。
そして、40点の日は40点なりに、自分のコンディションを整えるように心がけます。
「今日のコンディション不良」という事実より、「明日にかけて少しずつ調子が上向く」という変化が大事なのです。

「体の調子が40点」は、「自己管理」の健康観においては失敗事例になるでしょう。
しかしコンディショニングにおいては失敗ではなく、ただの観測すべき経過なのです。
ちなみに、今日のあなたはどうですか?
パッと答えられますか?今日、自分が何点なのか。
「自己管理」は「黄色信号」を無視する
このように、コンディショニングで大事なのは、「今の状態」より「変化」を観測することです。
変化を観測することに視点を移すと、何が起こるか。
「体からの黄色信号」を見逃したり、意図的に無視する事が無くなるのです。
体は、壊れたり、痛みを発する前にサインを出しています。
たとえば、筋肉や骨格系で言えば…
サインとして、柔軟性がなくなって体が硬くなったり、以前きちんと出来ていた動作が出来なくなったりします。

観測に「項目」を設けて、その変化を追えば、コンディションが悪くなっている事に気づけます。
たとえば、立った状態で「前屈」をしてみるとか、そんな簡単な「観測項目」でもいいのです。
腰痛を起こす前などは、前屈動作が硬くなっている事はよくあるものです。
現代人は得てして、この「体からの黄色信号」に気づかなかったり、気づいていても無視しがちです。
本当は40点なのに、80点の振る舞い・行動をします。
それが、旧来の「自己管理」が求めてきた理想だからかもしれません。
そう。私たちは、そういう在り方を求められてきたのです。
「いつでも80点でいろよ?」と。
それを求められた体はキツイです。
「意識・思考」としては出来るつもりでも、「体」は別物、限界を迎えている場合があります。
「思考」が「体」を誤魔化している状態が続くから、後でしっぺ返しが来ます。
コンディションが悪い日は、コンディションが悪いことに気付きましょう。
のび太やカツオのように、30点を100点に見せかけなくていいのです。
だってアニメの中でいつも、彼らは最後にしっぺ返しを食うでしょう?
30点を隠す事より、明日が60点になるという「変化」を楽しむ。
それがコンディショニングです。
ちなみに自分を把握する事については、こちらの記事でも解説しています↓
コンディショニングは、人に頼っていい
もうひとつ、コンディショニングが「自己管理」と違うところ。
それは「コンディショニングは人に頼っていい」という事です。
旧来の自己管理と違って「体調が悪いのは自業自得」ではないのです。
コンディショニングは、自分の「最適化」です。
最適化とは、与えられた条件や制約の中で、最も望ましい状態に近づけるように調整すること。
日常生活も仕事も、調子が良い方が望ましい。
その方が気分が良く、楽しいからです。
そのために、自分でケアできる範疇をこえたと思ったら、人に頼る方が良いのです。
DIYでできる事は自分でやる。できない部分は専門家に頼る。

腰が痛いなら、上手に体を使う練習として、軽いトレーニングをする事が大切です。
それを自分でやって調子を維持できるなら、そのまま続ければ良い。
やり方が合っているか不安なら、トレーナーに見てもらえば良い。
体が硬くて運動が苦手なら、セラピストにストレッチ施術をしてもらえばいい。
血糖値が高い人には「食事に気を付けた方が良いよ」と勧めますね?
それと同じで、腰痛リスクが高い仕事をしている人は、それなりの「最適化」をする方が良いのです。
でも、それを自分一人でやるのは大変。
体のことで頭を悩ませていると、かえって人生が楽しくなくなってしまいます。
ならば、悩んでいないで、気軽に相談できる相手がいた方が良いのです。
当院「からだラボ」はそういうコンセプトでお客様と接しています。

専門家にみてもらう価値は、もう一つあります。
施術やセッションが終わった後に、開始前より体が柔らかくなったら、どんな気持ちですか?
「あ、さっきよりも体の調子がちょっといいぞ」
「この短時間でも、やれば変化が出るのか」
この心理的な感触の変化はすごく大事。
そう思うと、気持ちが前向きになるのです。
「変化」や「気づき」は人の行動・習慣を変えます。
実は、それを誘発するのが、私たち体の専門家の腕のみせどころなのです。
自分一人では、体を良くしようというモチベーションは続かない事が多いです。
専門家に頼って「コンディションが良いと気分がいいな」という感覚を得られることが大事なのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
あなたの健康観は「自己管理」寄りでしたか?
「コンディショニング」寄りでしたか?
決して「自己管理」派の人が悪いわけではないです!
ただ、コンディショニングという考え方があり、近年では健康概念も変わりつつある事を知って頂ければ幸いです。
他にもこんな記事もあります。
もしよろしければ合わせてご覧ください。

この記事を書いたのは…
田中陽祐(たなかようすけ)
柔道整復師・スポーツトレーナー。にいさと接骨院×からだラボ 院長。
包帯やテーピングを巻くのが大好き。趣味はランニング、山登り。
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