足のアーチの問題について分かりやすく解説【偏平足・開帳足・回内足・ハイアーチ】


今回は足のアーチに関する記事です。

 

足はアーチ構造をしていて、アーチが崩れると色々なところに痛みが出ます。

 

基本は中高生アスリート向けに話をしますが、スポーツをしない一般の方にも役に立つ話です。

 

できるだけ専門用語を使わず、3分程度で分かりやすく解説しますので付いてきてくださいね。

足のアーチに問題があると、どんなところに痛みが出る?

足のアーチに関連の深い痛みには次のようなものがあります。

 

あなたがこの記事にたどり着いた理由は、この中にありますか?

  • 足底筋膜炎
  • 足の甲の痛み(疲労骨折・リスフラン関節炎)
  • 足ゆびの付け根の痛み(外反母趾・中足骨頭の炎症・フライバーグ病)
  • 有痛性外脛骨
  • シンスプリントや すねの疲労骨折 など

他にもありますが、いったんこのくらいにしましょう。

 

これらのトラブルの原因がすべて足のアーチとは限りません。他の要因もあるでしょう。

 

ただ、少なくとも足のアーチは一番にチェックするべき項目だと思います。

アーチの問題は人それぞれ

ひとくちにアーチの問題といっても人によって様々です。

 

たとえば、次のようなものです

 

  • 偏平足(足のアーチが低い)
  • 開帳足(足のアーチが低い)
  • ハイアーチ(足の甲が高いか、そのように見える)
  • 浮指(足のゆびが地面についていない)

 

足の問題の多くは、機能低下によって起こります。

 

機能低下というのは例えば、足のまわりの筋肉が衰えたり、使い過ぎで硬くなることです。

ちなみに、偏平足には先天性と機能性があります。

 

先天性の偏平足は、生まれつきの問題なので、ここで扱えるテーマではありません。

 

そして読者の方が知りたいのは、おおむね足の機能低下によるアーチの問題だと思うので、その前提で話をします。

足の構造から痛みを考える

 足の構造と役割を知っていると、痛みの原因を理解しやすいでしょう。

 

まずは下の図を見てください。

足のアーチは内側縦(ないそくたて)アーチ・外側縦(がいそくたて)アーチ・横アーチから成ります。

 

アーチの形態変化には名前がついています。

  • アーチが全体に低くなる:偏平足(へんぺいそく)
  • 横アーチが低くなる:開帳足(かいちょうそく)
  • 内側縦アーチが低い:回内足(かいないそく)
  • アーチが高い(ように見える?):ハイアーチ

偏平足や開帳足は、足裏・足の甲・アキレス腱など各所の痛みの起因になります。

 

また、開帳足は外反母趾に繋がる事が多いです。

 

アーチに問題があると、指でしっかり地面をつかめない「浮き指」がおこります。

 

ハイアーチもまた痛みを生じやすいですが、ご自分でハイアーチだと思っていても違う事があります。

 

座って見たらアーチが高いようでも、立って体重をかけると他のアーチのトラブルがある場合もあるのです。

 

なので、アーチの評価は専門的に行う必要があります。

足のメカニズムと役割

引き続き構造やメカニズムの話ですが、できるだけ分かりやすくしますね!

 

足の役割の話で重要なのが「トラス機構(トラスメカニズム)」「ウィンドラスメカニズム」です。

 

まずはトラスメカニズムから。

 

下の図を見てください。

トラス構造は屋根や梁にも使われる
トラス構造は屋根や梁にも使われる
トラス構造の橋の写真
トラス構造の橋の写真

トラス構造は建物の屋根や橋に使われる機構です。

 

重さを支えるのに有効なんですね。

 

人間の足もこれと同じようなメカニズムで重さを支えています。

人間の足のメカニズムとトラス機構①
人間の足のメカニズムとトラス機構①
人間の足のメカニズムとトラス機構②
人間の足のメカニズムとトラス機構②

足の裏の筋肉である足底筋膜(足底筋膜)は適度に伸び縮みします。

 

この伸び縮みによって、地面に足をつく際の衝撃を吸収します。

 

この衝撃吸収が足のアーチのお仕事なのです。

次にウィンドラスメカニズムです。

 

また画像を見てください。

ウィンドラス機構の説明①
ウィンドラス機構の説明①
ウィンドラス機構の説明②
ウィンドラス機構の説明②

足ゆびが持ち上がると、指の付け根からカカトまでの距離が縮まってアーチも高くなっていますね?

 

これがウィンドラスメカニズムです。

 

指の関節が支点になって、足底筋膜が巻き上げられ、張力が働くのです。

 

これにより歩く時は足ゆびが曲がって、骨がギュッとまとまるので地面を強く蹴りだせるという仕組みです。

 

そのため足底筋膜が弱っていたり、使い過ぎで硬くなっているとウィンドラスメカニズムが十分発揮されません。

 

足のアーチは動きのある構造物なので、こういった評価も大切です。

足のアーチの評価

足のアーチの評価で分かりやすいものには、「下腿踵骨角」があります。

 

これは、①ふくらはぎの中央を通る線と、②カカトの骨の中心線の2本の線で出来る角度です。

 

2~8°が正常範囲とされ、それより角度があるとアーチが低い(内側がつぶれている)と判断します。

 

下に図を示しておきますね。

また、先に挙げたウィンドラス機構の評価も大切です。

 

足ゆびをしっかり起こして、アーチを持ち上げられるかチェックします。

他にも評価方法はありますが、この二つは比較的簡単にチェックできます。

 

もしよければ皆さんもご自分でチェックしてみてくださいね。

足のアーチに関係するもの

足のアーチに関係が深い要素は、次のようなものです。

  • 体重:急激に体重が増えたりすると、アーチは低下しやすい。
  • 足底筋膜:足底筋膜が硬くなっていたり、働きがにぶっているとアーチに問題が生じる。
  • 下腿の筋肉:すねや ふくらはぎの筋肉はアーチを維持することに寄与している。
  • 足首の動きがわるい:動作時に代償がおこるためアーチが低下する事も。

代償については、こちらの記事が分かりやすいと思います↓

アーチの状態改善について考える

ここまで足のアーチに関して詳しく解説してきました。

 

アーチのトラブルは、足周辺の機能低下が原因になっていることが多いです。

 

そのためアーチの状態改善には、足の機能改善が必要です。

 

次のようなことをやってみましょう。

  • ストレッチやマッサージ:足裏やすね、ふくらはぎの筋肉を柔らかく保つことが大切です。
  • 足ゆびの運動:床に敷いたタオルを足ゆびで手繰り寄せるタ「オルギャザー」などが代表的です。
  • 全身的な動作の見直し:足のアーチは動く構造物です。部分ではなく全身の動作の見直しをしましょう。
  • インソール:補助的にインソールを使うことも検討してみましょう

まとめ

いかがでしたか?

 

今日は専門的な話もあり、いつもより少し難しかったのではないでしょうか。

 

もし体や動作の事をもっと知りたいという方は下の記事も読んでみてくださいませ。

足のトラブルの改善って本当に難しいですよね。

 

でも、きちんと一つ一つチェックして改善していけば糸口は見えますので、あきらめずに治しましょう。

 

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この記事を書いたのは…

田中陽祐(たなかようすけ)

 

柔道整復師・スポーツトレーナー。にいさと接骨院×からだラボ 院長。

包帯やテーピングを巻くのが大好き。趣味はランニング、山登り。



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