膝のケガや障害に繋がる「ニーイン」について分かりやすく解説


今回は「ニーイン」について分かりやすく解説します。

ニーインの改善は、ケガ・障害の予防になり、パフォーマンスも改善します。

できるだけ専門用語を使わず、分かりやすく解説しますので付いてきてくださいね!

最後にはニーインを観察して改善するエクササイズも紹介します。

読んでみてくださいね!

ニーインとはどういう現象か?

「ニーイン」とは、スポーツ動作の際に、膝が内側に入ってしまうことを言います。

ランニングの時とか、ジャンプの着地とか、球技などコートスポーツのフットワーク動作で起こります。

これは「動きのメカニクス(力学)」の話です。

動きの中で、力の伝達が正しく行われず、不調和な動きが生じているということ。

なので「X脚」のような、静止状態での姿勢やアライメント(関節の位置関係)の話とは違うんです。

下の図を見てみてください。

ニーインとは、ヒザが「内乱」すること
ニーインとは、ヒザが「内乱」すること

すいません!がっつりニーインしているような良い写真素材がなかったです!

上の画像だと、右の人の方が、ほんの少しだけヒザが内側に乱れる傾向にあります。

※画像はタップで拡大できます。

本来、体重がかかっている側の脚は、3つの関節が一直線になっているのが理想的

ちなみに、3つの関節というのは、股関節膝関節足関節です。

分かりやすいように、股関節と足関節の中心を結んだ線を引いてみました。

そうすると、どうでしょう?

画像右の人は少しだけヒザが内側に入っているように見えませんか?

こういう状態をニーインといいます。

この画像の人くらいだったら、実際わたしは「許容範囲」だと感じます。

本当にニーインが強い人は、もっとヒザが内側に乱れます。

専門用語で「内乱」といいます。

スポーツ動作で、地面に力を伝えたり、地面からの反発力を脚で受け止めることを想像してください。

脚が一直線なら、力の伝達効率が良いです。

 

しかし、接地する度にニーインが起きると、体全体が「グニャ」っとなって力がうまく伝わりません

 

脚には内向きにひねられる強制力が働いて、股関節と腰が下がるのです。

この「力学的な非効率」が、パフォーマンス低下や、スポーツ障害につながります。

余計な力が必要になったり、体に無理が生じるんですね。

起こりやすいのは例えば、足の甲やスネの痛み、膝・股関節周囲の痛み、腰痛などです。

ニーインというのは、こんなふうに「動作」が力学的に上手くいっていない状態・現象です。

ニーインはなおるのか?

トレーナーや、スポーツ医療の専門家は、よくニーインの改善に迫られます。

ケガや故障に「ニーイン」が深く関係している場合があるからです。

先ほど申し上げたような部分の故障やケガですね。

では、ニーインは直るのか?

直ります。

ただ、トレーナーの力を借りないと困難だと思います。

そして専門家の力を借りても、手間はかかります。

一回のセッションで完璧に改善しようとは思わない方が良いです。

理由は、すでに選手の体のトラブルが「こじれている」場合が多いこと

そして、選手が沢山のレクチャーを一遍に のみ込めないからです。

スポーツ障害を起こした選手は、痛みによって体の使い方がよりいっそう変になってしまうんです。

私は、選手の「動き」を「修正」する事は、こんがらがった毛糸の塊をほどいていく作業に似ていると感じます。

選手一人ひとりで違う「改善の糸口」を見つけて、改善に取り組める形になるまで問題を「整理整頓」するのです。

まず、どうやって「ニーイン」を暴き出すか?

そのためには何よりも、選手に動いてもらって観察する事が大切です。

一番は、そのアスリートが普段やっている、実際のスポーツ動作を再現してもらう。

次に、もう少し簡略な動作をやってもらい観察する

 (※具体的にどんな動作で確認するかは後述しますね!)

それから股関節とか足関節とか、体幹とか、体の個別のパーツを点検していく。

よく起こる現象とはいえ、ニーインが起きる原因は選手によって様々で、千差万別なんです。

 

同じ症状・同じ現象が起きているからと言って、原因まで同じではない。

 

股関節が硬い事が原因の選手もいれば、骨盤や股関節の安定性がない選手、単純に片脚立ちが苦手な選手もいます。

この手順は、壊れかけの自転車の整備に似てます。

まずは自転車を実際に走らせてもらい、不具合を再現してもらう。

そして次に、自転車をひっくり返してペダルや車輪を回してみる。

荷重さえなければ正常に動くだろうか…

ペダルなどの動力を生みだす部分の問題か…

それともシャフトやハブ等、フレーム部分の問題か…

そんなふうにまず、動きを「全体として」捉えます

そのうえで、アタリをつけながら、個別のパーツを見ていきます。

個別のパーツを直してみたら、全体としてどう動くかもう一回チェックします。

メカニクス不良の改善を求められたトレーナーの頭の中は、こんな感じの思考です。

そういった分析が必要なので、ニーインは、選手自身に「競技フォームを意識させて」直すような階層の問題ではないです。

実際のところ、こういうメカニクスの乱れは「無意識に発生している」ことが多いです。

選手本人がメカニクス不良を「知覚」できるレベルまで、「動き」を分解・分析し、段階的に改善するプログラムが必要です。

とはいえ「むずかしい話はもう良いから、自分で何かできる事はないの?」と思いませんか?

そこで次の章では、簡単なチェックを紹介してみます。

ニーイン、どう見てどう直す?

ニーインをチェックするには、例えばこんなやり方があります。

  1. 二ーベンテスト(片脚立ちでしゃがんでもらいます、画像では紹介しません)
  2. フロントランジをしてもらう(※下のひとつめの画像)
  3. 片脚デッドリフトを観察する(※下のふたつめの画像)

他にも台を使って片脚スクワットしてもらったり、片脚で台を蹴って立ち上がる動作を見たりすることもあります。

競技種目の違いや、全体の改善メニューの流れを加味して、様々な選択肢から選びます。

フロントランジでニーインが見られる例
フロントランジでニーインが見られる例
片足のデッドリフトの際にニーインが見られる例
片足のデッドリフトの際にニーインが見られる例

上のふたつの画像は、フロントランジをしている図と、片脚のデッドリフトをしている図です。

それぞれ左側が良い状態、右側がニーインしている状態です。

良い状態の時は、股関節・膝関節・足関節が一直線上にあります。

ニーインしている側は、膝が内側にずれていることが分かりますか?

ちなみに私は左脚がニーインしやすいです。

なので、こういう股関節のトレーニングをする時に、意識して「修正」します

わたしは初級クラスの市民ランナーなんですが、コンディションが悪い時はニーインする傾向にあります。

股関節を使って走れてない時にありがちですね。

そんな時は、こういった片脚エクササイズや、前後に脚を開く系のエクササイズからやり直します。

基本的に、競技動作をやっている中でニーインを治すのは難しいんです。

だから、まずこうやってトレーニングルームで「体を正しく使うトレーニング」をする必要があります

そして、それをフットワークの練習や、ランニングドリルなどにつなげる

そうすると競技中のニーインが直っていくわけです。

ニュースやスポーツバラエティ番組などで、アスリートのトレーニング風景を見た事がありますか?

あのトップアスリートたちは、トレーニングルームで「動き」の調整をしているんです。

なので、実際のランニング時やゲーム形式の練習の中で、選手に対して

「膝を意識しろー」

「ニーインしてるから直せー」

というのはあまり好ましくないです。

そうするとかえって変な動きになっちゃったりする。

膝の外側から働く外力の例
膝の外側から働く外力の例

それは、毛糸がこんがらがっているのに「さぁ編め、正しく編め!」と言っているようなもの

そうではなく、いったんほどいて、編みやすいように下準備をするのです。

それが、トレーニングルームがあり、トレーナーがいる価値です。

ニーインを見つけて改善するエクササイズ

さて、自分でも改善のために何かしたいですよね?

そこで、ニーインを見つけやすくて、改善のためにもなるエクササイズを紹介します。

良いトレーニングは、動きを磨くだけでなく、動作メカニクスの乱れをチェックするのにも効果的なのです。

これらを正しく行うためには、トレーナーの力を借りる事も忘れないでくださいね♪

こんな感じで、日ごろから「動きの質」をチェックし、磨くトレーニングをする事が とても大事です。

それが競技動作に繋がったら、ケガの予防だけじゃなくパフォーマンスも改善するかもしれませんよ?

当YouTubeちゃんねるでは、こういう動画をまめに投稿してるので、もしよろしければチャンネル登録してくださいませ。

まとめ

今日は、スポーツのケガや障害に繋がることの多い「ニーイン」について解説しました。

できるだけ分かりやすく説明しましたが、少し難しかったでしょうか?

ニーインのような'動き'のエラーは「プレー中に意識して治す」ような問題ではありません。

自力での改善は難しいので、トレーナーを頼るべきだと思います。

 

私は選手の自主性とセルフケアを大事に考えています。

 

それでも、自力で出来ないところは気軽にトレーナーを頼ってもらいたいなと思います。

トレーニングにおけるトレーナーの役割
トレーニングにおけるトレーナーの役割

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この記事を書いたのは…

田中陽祐(たなかようすけ)

 

柔道整復師・スポーツトレーナー。にいさと接骨院×からだラボ 院長。

包帯やテーピングを巻くのが大好き。趣味はランニング、山登り。



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